PSV 俺の屍を超えてゆけ2 レビュー

RPGとしての出来は高いが、キャラゲーとして見ると多少の欠点が・・・。

15年前に発売された「俺の屍を超えてゆけ」の続編。話の繋がりは薄いが、前作のキャラも多く登場し、ファンサービスもあったりして、前作プレイ済みの方が楽しめる・・・
・・・というわけでもなく、未プレイの方が楽しめるかも知れない。理由は後述する。

「短命の呪い」をかけられた主人公の一族が、命を繋ぎ、強くなった子孫達で敵を倒して、短命の呪いを解くというのがゲームの目的。
「種絶の呪い」も一緒にかけられており、人と子を成すことが出来ないため、人ではなく「神様」と子供を作り、子孫を繋いでいくことになる。

短命の呪いによって、顔に模様が現れ死んでしまう
短命の呪いのせいで主人公一族は2年ほどしか生きることが出来ない。
ダンジョンに入ったり、子供を産んだりすると1ヶ月が経過するが、ダンジョンでは大体20~30分程度で制限時間が来るので、2年の寿命はあっという間に訪れる。

あっという間に死んでしまうのだが、キャラクター毎に多少の個性付けがされており「おはぎが好き」とか「高いところが好き」とか、一言コメントの自己紹介が付いている。
確かに、箸にこだわりもってそうな顔してるね(?)
生まれた子供には自由に名前を付けることが出来るが、最初に主人公(初代当主)に付けた名前は子孫の一人が代々襲名していき、何年経とうとも初代当主の名が絶えることはない。
顔や身長、胸の大きさは親と「相手の神様」の特徴を受け継いでいく。イケメンなのに「趣味は裁縫」だったり、強い親から生まれた割に弱かったり、その逆もあったりして、短い間ながら愛着が湧きやすい。
亡くなった時には、ボイス付きの辞世の句まで残していくため、けっこう心に来るモノがある。
お前、強かったよ・・・
その「愛着」こそがこのゲームのキモ。
「モンスターファーム」や「デジモンワールド」のような「育成の楽しさ」があるのだ。

親が使っていた特注武器(その人専用で使えば使うほど強くなる特殊な武器)を子孫に授けたり、親が会得した奥義(ロマサガのように、戦闘中に閃くことがある) を子供に伝授したりしていく内に、自分の一族への愛着がどんどん強くなってくる。
奥義を使用すると、特殊な演出が入ってカッコイイ!
親が負けたボスに子孫が倒すと「因果応報」と大きな文字で表示されたり、奥義の名前には親の名が付いていたりと、一族への愛着を強くさせる演出は数多い。
家族写真、見る度に思い出が蘇る

戦闘はテンポ重視の爽快なシステム。
シンボルエンカウントで、マップにいる敵に触れると戦闘が開始。戦闘が始まる前にスロットが回り、戦闘に勝つと止まったアイテムを入手する事が出来る。
アイテム以外に、同じマークが揃うと貰える経験値が増える
現れた全ての敵を倒す必要はなく、敵の中にいる「大将」を倒すとこちらの勝ちとなるため、一回一回の戦闘はかなりサクサク。一度に8体出てこようが、弓使いで大将を射貫いてしまえばその時点でこちらの勝ちなのだ。
自分のチームの大将がやられても同様に敗北となる、注意
戦闘中に使える術は普通に唱えるだけでなく「併せ」といって「複数人で同じ術を唱える」ことができ、4人で同じ術を唱えるとかなり強力。
術だけでなく「奥義」も併せることができ、親子で同じ奥義を併せるととてつもない威力になる。
場合によってはボスも一撃の超威力!
戦闘後も「まんたん」コマンドを選ぶ事で、メンバーのライフを自動的に全回復できたり、術を唱えることで移動速度を上げたり、面倒な時は雑魚敵を画面から消したり、必ず先制攻撃できるようになったりと、サポートも含め戦闘面のバランスはかなり良い。

また、 どのダンジョンで何をするかに迷った時「コーちんの提案」という、行き先と目的を提案してくれるシステムがあり、迷った時には提案を実行していれば自然と強くなっていけるようになっていたりと、プレイ面でのサポートも万全。
システム理解前の序盤に頼りになるシステム
オンライン要素もあり、自国にあるダンジョン以外に他のプレイヤーのダンジョンに遊びに行ったり、他のプレイヤーの一族を養子に迎えたり、他のプレイヤーパーティと戦ったりと、直接的ではない薄い繋がりを感じる事が出来る。
使わなくても問題ないが、他のプレイヤーと能力を競ったりするのはなかなか楽しいし、自国のダンジョンが複雑で難しい場合、他のプレイヤーの国に行くことで簡単になったりする場合もあるため、積極的に使う事で、俺屍2をより深く楽しむことが出来るだろう。


戦闘面やオンライン要素と、様々な要素が作り込まれている良作・・・
・・・なのだが「夜鳥子(ぬえこ)」というキャラクターの存在が、このゲームに深い影を落としている。
この女が元凶の「夜鳥子」
この「夜鳥子」というキャラクターは、シナリオに大きく関わっており、最早主役なのでは?と思うほど「夜鳥子」を中心に話は進んでいく。
それだけならまだ良いのだが、この「夜鳥子」をパーティに入れていないと、ボスを倒す事が出来ないのだ。

戦闘パーティの枠は4人、一所懸命育てて愛着が湧いてきたキャラクター達ではなく、よく知らない女にパーティの枠が取られてしまうのはかなり苦痛。ボスを倒す為だけにこの女のレベルを上げ直すのも面倒。
加えて、この女も一族と同様に2年ほどで死んでしまい、そのたびに転生させなければならないのだ。
転生には「奉納点」というポイントが必要で、この奉納点は一族を強化するのにも使うポイント。一族のためにせっかく集めた奉納点を、この女に使わざるを得ないというのはもはや苦行の域。

更に、夜鳥子の一言コメントは「趣味:鍋料理」で固定なのだが、この女が生きている間、仲間の一言コメントが「好きな料理:鍋料理」に変わってしまうという謎の仕様が存在する。

自分の好きなキャラがみんな鍋好きに変わっていくのは、かなり萎える。
まんじゅう好きっぽい顔してるな~なんて気に入っていたキャラが、いつの間にか鍋好きになっているのである。ふざけるな。

当り前のような顔で家族写真にも入ってくる。腹立たしいことに、夜鳥子は一族キャラのモデリングとは似ても似つかない美人なため、自分の一族のモデリングの悪さが浮き立ってしまいなんだか萎える。
左下の女、誰だよお前!空気読め!
更に更に、前作から登場している神様キャラクター達が、何故かみんな夜鳥子好きになっているという問題も。これが最初に言った「未プレイの方が楽しめるかも知れない」理由。

このゲームは元々キャラクター人気も高かったのだが、多くの前作キャラが、実は夜鳥子の事が好きだったんだよ!と告白し始めるため、前作で気に入っていたキャラがいる人にはかなりショックな内容だろう。
気に入ったキャラがいなくとも、色々な神様が口を揃えて「夜鳥子すげえ!夜鳥子ぱねえ!」と語り出すため、結構うざい。
「俺が負けたのは唯一あの女だけだった・・・知りたいか?なら俺を倒してみろ!」とか「私にはない魅力があの女にはあった・・・誰だって?私を倒したら教えてあげるよ!」とか言う。ほとんど全員言う。マジで言う。
どうせ夜鳥子だろ、知ってんだよボケ!他のこと話せや!

夜鳥子以外の欠点は、神様がすぐに地上に降りて言ってしまう事。
このゲームは神様と子供を産んでいくゲームなのだが、肝心の神様のほとんどは地上に降りてしまっていて、条件を達成しないと戻ってきてくれない仕様。

それだけならまだしも、条件を達成して連れ戻しても、しばらくするとまた地上に戻って行ってしまうため、強い神様と子供を産みたいのに、神様リストがガラガラで上手くいかないことが多い。
ほとんど捜索中で、選択の余地がない。
ゲームの難易度自体は、設定によって様々。
簡単な難易度だとレベルがどんどん上がり奉納点も大量に手に入るため、一族を手軽に強くしていける様になっている。高難易度はその逆で、じっくりと一族を強くしていく事になる。どちらの難易度もそれぞれの楽しさがあり、クリアまでの時間も簡単で30時間、難しいで100時間とまちまち。
難易度はいつでも変更出来るため、厳しいと感じたら簡単にしていくのがいいだろう。

トロフィーの難易度は高く、回数系のものだと一族を100年まで繋いだトロフィーや、1000万両使用したトロフィー等を取るためにはかなりのやり込みが必要になる。
他にも「敵の併せを50回阻止した」や「全ての神様を転生させた」トロフィーの取得には運も絡んでくるため、トロコンは容易ではない。 

「夜鳥子」と「神様がすぐに地上に降りていく事」2つの欠点を書いたが、それ以外にはほとんど欠点は見当たらない良質なRPGに仕上がっている。
戦闘のバランスも良く、育成のテンポも、独特のグラフィックやBGMの出来も良く、二つの欠点に目を瞑る事ができるなら、かなりの良ゲーと言える事は確か。
一応言っておくと、クリア後の裏ボスややり込みでは「夜鳥子」を使う必要が無いため、そこまで進めてしまえば「夜鳥子」も気にならなくなる。
ネットで言われている「DLCの搾取がひどい」という話も嘘っぱちで、実際はほとんど無く買う必要の無いDLCばかり。

最終的な評価をすると「欠点はあるが確実に面白いRPG」といった感じ。
続編が出るのなら、是非買いたいね・・・あればだけど。

プレイ時間 80時間

グラフィック ★★
音楽 ★★★
内容 ★★★
難易度 ★★★
トロフィー難易度 ★★★★

総評 ★★★

夜鳥子が居なければ★★★★

1 件のコメント :

  1. なかなかよいレビューサイト!
    応援してます!

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