PS4 バリアント ハート ザ グレイト ウォー レビュー

涙が出るほど大きな感動はないが、何かが心に響く、そんな作品。


PSストアにて1500円ほどで販売されているゲームで、ジャンルは「バリアントハート(勇敢な心)を描く2Dパズルアドベンチャー」
以前レビューした「チャイルドオブライト」や「レイマン レジェンド」でも使われていた「UBIart Framework」というエンジンを使用して作られた作品。
まるで絵がそのまま動いているような特殊なグラフィックになっている。

ゲームの舞台は第一次世界大戦。

「争いを嫌う優しきフランス人の父親 エミール」

「戦う理由を持つアメリカ人 フレディ」

「フランス人と恋するドイツ人 カール」

「父親を戦争に利用された娘 アンナ」

「軍用犬の ウォルト」

この4人と1匹のキャラクターを操作し、悲惨な戦争を主にフランス側の視点から追体験していくことになる。
犬が出てくるってことで「犬の感動物語」なのかなって思ってたけど、実際は4人の運命が交差していく話がメインで、犬はほとんどオマケ。
ちなみに、完全なるハッピーエンドでは終わらない。得るものもあり、失うものもある、いわゆるビターエンドって感じ。その辺りは覚悟しておいた方がいいかも。

ゲームは基本的に簡単な謎解きで進み、特に難しかったり道に迷ったりする事はない。
その上、長い時間迷っているとヒントを出してくれる機能も付いているため、謎解きが苦手な人でも楽しめるようになっており、たまにシューティングやリズムゲームのミニゲームもあったりして、飽きさせない工夫もされている。
赤い印で謎解きのヒントを教えてくれる
といっても、パズル要素はあまりに簡単で、人によっては後半に飽きてしまうかもしれない。正直に言うと後半はかなり飽きが来てた。
クリアまで3~5時間ほどの短いゲームだから、完全に飽きる前にはクリア出来るボリュームっていうのが救いかな。

しかし、このゲームで語るべき所はパズルやミニゲームと言ったアクションパートではなく、その物語についてだろう。

戦争という重いテーマを取り上げていながら、明るい雰囲気でゲームもテンポよく進んでいくのだが、それが逆に戦争の現実をうまく表しているように思う。
加えて、実史の写真付きの資料を見ることもでき、拾ったアイテムの解説も丁寧で、ただの戦争ものゲームでは味わえない「戦争の現実」を追体験する事ができる。こういう知識があると、主人公達の境遇への感情移入が強まるから、ゲームとしての面白さも深まるよね。
ゲーム内で手に入れたアイテムの解説、ゲームへの感情移入を強めてくれる。
写真と解説で実史の解説もあり、ゲームと実史のリンク感が強まる。
ゲーム中、キャラクターが声を発することはほとんど無く、感情表現のアイコンやしぐさで状況を読み取っていく事になる。
字幕を読む必要が無いからプレイの没入感を削がれる事もない。声が無くて状況が分からない!なんて事は一度も無く、キャラクターの感情が上手く表現されていて関心した。
一応、心情を保管するためのシステムとして「日記」があり、キャラクター達が自身の心情を記した日記を読むことが出来る。
日記によって、キャラクターの心情をより詳しく知ることができる。
普段はBGMが流れておらず、環境音のみなのだが、要所要所で流れる曲はピアノを基調とした悲しげで良い曲ばかり。「チャイルドオブライト」と同じ作曲家らしく、感情移入に一役買っている。曲数がかなり少ないのが、ちょっと残念だったけど。

トロフィーの話をすると、とても簡単。収集物を集めるトロフィー以外は普通にプレイすれば手に入るレベルで、チャプターセレクト機能があるため収集物の回収も楽々。
1週は普通に遊び、チャプターセレクトからアイテム収集って流れが一番かも。


心温まるシーンもあれば、心に影を落とすような辛いシーンもあり、ハッピーエンドでは終わらないこのゲーム。
人の強さや争いの無意味さを通して、プレイした人の心に、きっと何かを残していくだろう。

プレイ時間 6時間

グラフィック ★★★
音楽 ★★★
内容 ★★
難易度 ★
トロフィー難易度 ★

総評 ★★★

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