PSV フリーダムウォーズ レビュー

TPSとアクションの融合、対咎人戦、奪還や懲役といった新たな要素を多く組み込んでいる作品。
挑戦という意味では評価できるが、内容はかなり荒削り。今後のアップデート内容によっては化けるかも・・・?

シナリオは、記憶を失った主人公は「咎人」となり、自らに課せられた「懲役100万年」の減刑していくため、ボランティアという名の戦闘行為に身を投じていくというもの。
戦いの中で、謎の女の子が出てきたり、世界が滅びるだの行方不明の父親だの、色々な謎が出てくるんだけど、そのほとんどは未解決のまま終わる。最初に出てくる謎の女の子の正体すら不明。「マインドゼロ」並に未解決で終わる。

そもそも「主人公は常に監視され、不自由な生活を送っている」という設定のハズなのだが、主人公達はなんら不自由なく生活しているように見えるし、監視はザルで違法行為もし放題。世界観とシナリオのズレが凄まじい。
クエスト受注型のゲームなのでシナリオはぶつ切りで展開される上、都合主義な展開が多く、没入感もない。

更に、シナリオの進行はだいたい「仲間と会話→ミニゲーム→戦闘」という流れで飽きやすい。
「ミニゲーム」は、敵に見つからないように基地を進むというものなのだが、これが圧倒的につまらない。超つまらない。ヤバい。なんでこんなの入れたのってレベルでつまらない。世界観は良いのに、シナリオやイベントがダメダメで、非常に勿体ない。
まぁ、こういったゲームでのシナリオはオマケみたいなモノだし、あまり気にしていないんだけど、今作に関しては世界観が面白いし、シナリオに力を入れていそうな感じだったので残念だった。
敵に見つからないように進む、クソつまらないミニゲーム
また「超shaz」や「Wiil'O」といったゲーム内用語が出てくるのだが、これらに関しての説明が無く、世界観の把握がしにくい。
他にも、説明書やチュートリアルに攻撃属性に関する記述が無かったり、武器改良についての深い説明が無かったりと非常に不親切。敵の名前も「砲撃弐脚 乙」だの「汎用四脚 丁」だの、これまた非常に分かりにくく、どの敵がどの素材を落とすか、どこを壊せば何が出るのかすらよくわからない。
名前を言われても、どの敵なのかよく思い出せない
こういった様々な要素が世界観やシステムの把握に悪影響を及ぼしている。もう少し「プレイヤー目線」での解説を入れて欲しかった。

戦闘システムの特徴としては「武器が二つ持ち込める」「茨による素早い移動」「敵が多い」「仲間が強い」「防具が無い」の5つ。
武器が二つ持ち込めるため、状況によって近距離と遠距離の二つの武器を使い分けることが出来る。遠距離武器で敵をダウンさせてから近距離のタメ攻撃を入れたり、遠距離武器を二つ装備して撃ちまくったり、短剣でダウンを奪って大剣のタメを入れたりと、色々な戦略が可能。
遠距離武器の弾丸は無限ではなく、アイテムを使うかフィールドに落ちている弾を拾うことでしか補充できないため、遠距離のみでの戦闘は少し厳しいが、遠距離武器の威力がなかなかに高いため十分に可能。色々な戦略で挑めるのは楽しい。「EDF」で色んな武器を持っていくような楽しさがある。

キャラクターは「茨」という「フックショット」のようなものをデフォルトで装備しており、これで高所への高速移動が可能。他にも敵のダウンを奪ったり、仲間を蘇生したり、アイテムを回収したりと色々な応用ができる。
攻撃、防御、回復の3種類の茨が存在し、仲間を回復させたり防御力を上げたりとそれぞれ特徴が異なる。
また、短剣を装備しているか「フレアナイフ」 というアイテムを使うことで、敵に張り付いた状態での「溶断」が可能。これによって簡単に敵の装備を破壊したり、核を破壊してダウンを奪う事が出来る。敵の装備を全部壊してやるのは爽快。部位破壊で敵の行動がちゃんと封じられるのは良いね。
敵に張り付き、レーザー兵器を切断!
戦闘は基本的に多vs多で行われ、8人パーティで戦っていくことになる。
仲間の攻撃力もそれなりに高いため、多くの敵と戦うには連携が必要になってくるのだが、仲間のAIが微妙で少しストレスが溜まる。敵が攻撃中なのに、仲間を蘇生しようと一直線に走ってきたり、集中攻撃を命令すると仲間の蘇生を一切行わなくなったり、もう少し柔軟なAIを搭載して欲しかった。
タッチで仲間に命令を出せる
また敵の増援も多く、2体倒したのに、増援で2体追加されたりして、正直疲れるし飽きる。雑魚敵は大体無限沸きだから、倒してもキリがない。
死因のほとんども戦っている敵にやられるのではなく、雑魚にやられたり、起き責めでハメられたり、狙っていない敵にやられたりで腹が立つ。数で難易度を上げている感じ。
基本的にどの敵も1対1だと簡単に勝てるため、どうやって1対1の状況に持ち込むのかが戦闘のカギ。雑魚の湧かない所まで敵を誘導したり、仲間を待機させて、自分は1対を引きつけて離れたりすれば、難易度は大幅に下がる。

1回の戦闘で多くの敵が出てくる割に、大型の敵は「弐脚」「四脚」「汎用」「トラ型」「クモ型」「ドラゴン型」の6種類程度。
属性が違ったり、レーザーを装備していたり、マシンガンやミサイルを装備していたりと、武器のバリエーションによって水増しさせているのだが、そのせいで新しい敵と戦う喜びがほとんど無い。
「弐脚」「四脚」「汎用」は見た目もほとんど変わらないし、攻撃方法も似たり寄ったりなので、違いがよくわからない。
いくらなんでも少なすぎる。「ソウルサクリファイス」のように継続的なDLCで増やしていく予定なのかも知れないが、流石にちょっと少なすぎる。この辺りはかなりガッカリした。

このゲームには「防御力」という概念が無く、防具は存在しないため、最初から最後まで敵の攻撃を数発受けると死んでしまう。茨やアイテム、ブースターと呼ばれるアタッチメントを使うことでダメージの軽減が可能だが、あまり大きくは変わらない。
このストイックな姿勢は結構好き。ガチガチの防御で固めてゴリ押し攻略っていうのは出来なくなっていて、立ち回りが重要視されているから、上手くなっている実感がハッキリと湧いてくる。

戦闘の操作性はあまり良くない。VITAのボタン数が足りていないというのもあるが、接近攻撃のテンポがあまり良くなかったり、あらゆる動作がどこか固く、動かしていてあまり気持ちがよくない。
また、カメラが敵に近いとfpsが低下するせいで、銃の狙いが外れたり、目が疲れやすい。VITAにしてはグラフィックは良く、表示される敵の数も多いけど、そのおかげでfpsが安定しないなら意味が無い。この辺りもう少し調整して欲しかった。
色々な操作タイプが用意されているが、どれも微妙に使いにくい

戦闘について書いたけど、次はシステムについて。

主人公にはあらゆる規則が設けられており、ファストトラベルはおろか武器の強化、人との会話、 更には街中でのダッシュまで禁じられている。
最初はなにもできない状態にストレスを感じるが、権利の解放を進めていくとファストトラベルが使え、武器の強化や会話も自由に行えるようになって、一種のカタルシスが味わえる。
何が罪になるのか分からなくて、何かする毎に罰せられて刑期が加算されていくのは面白かった。今ので罪になるのかよ!ってツッコミたくなる感じ。
ただ、刑期が加算されるかもしれないという不安から、NPCとの会話が億劫になりがち、別に100年増えたところで問題は無いんだけど、なんかね。
取引を持ちかけると・・・
即罰則!
武器の強化は素材を集める事で可能。近接武器は短剣、大剣、槍の3種。遠距離武器にはレーザー兵器やマシンガンに火炎放射器等、豊富なバリエーションがあるが、絶対数はかなり少なく、強化しても形が変わったりはしない。属性派生させると色が変わるけど、それだけ。
その代わり武器にはOPを付ける事が可能で、移動速度が上がったり、特定部位への攻撃力が上がったりと様々な効果を付加できる。
全部で12種類のOPを付加可能
ハクスラでのOP厳選はかなり好きだから、OPがあるって知ってワクワクしたんだけど、実際はかなり残念な仕様。
OPは、武器と武器を合成することで変化させられるのだが、何のOPが付くのかはほぼランダム。
合成すると付いてたOPが消えたり、全く意図していないOPが付いたり、自分の思い通りの武器を作るのは困難でかなりの運が必要。
その上、武器の強化や合成には現実での時間がかかるため、失敗した後すぐにやり直すって事が出来ずに20分ぐらい待たされる。
なんで現実の時間がかかるようにしたのか、ハッキリ言って意味不明。現実の時間がかかることによって何かしらのメリットが存在してるとは思えないし、戦略的な要素も何一つ無い。ただ時間がかかって面倒なだけ。
OP厳選に熱中しようと思っても、必ずクールタイムが挟まるため、その間にどうでもよくなってくる。
寝る間も惜しんでゲームを遊ぶ時間を作ってるのに、20分も待ってられねえんだよ、アホか。
武器の生産に9分待て?寝るわボケ
主人公には「アクセサリ」 と呼ばれる生体アンドロイドが監視役として付き添っており、好きな武器を一つ持たせる事が出来る。戦闘中はアクセサリのみ個別に命令が出せるようになっているから、戦略的にも重要。
名前を付けたり、見た目やボイスのカスタマイズも可能。主人公が死ぬと一目散に駆けつけてくれるのもあって、かなり愛着が湧く。ゲームを進めると褒めてくれるようになったりして嬉しい。

話しておくと、見た目に関しては主人公も変更可能で、性別や身長まで、名前以外の全ての要素がいつでも変更出来る。キャラクリに悩まなくて済むのは嬉しいやら、ちょっと悲しいやら。
衣装から骨格まで、いつでも変更可能
戦闘中、アクセサリは敵に捕まることがあり、時間内に助け出せないと敵に攫われ、奪還任務をクリアするまで会えなくなってしまう。これが辛い。だから敵に捕まるとかなり焦る。
それは良いんだけど、制作側もその「焦り」を狙っているのか、アクセサリがやられると数秒ごとに助けろって催促のボイスが流れ、画面に「はやく助けろ!」的なメッセージがでかでかと表示されてかなり邪魔。一回言えばわかるから、大丈夫だから、邪魔しないで。
ジャアアァン!みたいなSEと共に現れる命令文、邪魔
その他、このゲームには色々な要素が盛り込まれているが、残念なことに上手く機能していないものが多い。例えば「カバーアクション」もその一つ。×ボタンを押すと物陰に身を伏せる事が可能だが、壁越しからでもロケットランチャーの爆風が当たるし、なによりカバー中の射撃が出来ない。
そのため×を押してカバーする→立ち上がって射撃→×を押してカバーに戻る、といったテンポの悪い動作が必要になり、まったく使い物にならない。
他に、オンラインで都道府県による対抗要素が存在し、貢献上位の県には報酬が出る要素がある。これも試みは面白いが、結局人口の多い東京が1強になってしまっているため、あまり面白くない。敵から市民を救い出す奪還戦も、NPC相手だと単純につまらない。

敵咎人との対戦、いわゆる対人戦も面白くない。
近距離武器を装備している敵はいいのだが、遠距離武器を装備している敵は非常に厄介。狙いが正確無比で、かなり遠くからでも当ててくる。その角度は撃てないだろって位置からも当ててくる。真後ろにいても当ててくる。
そのため、横に移動しながらハエ叩きのようにちまちま銃で倒すしかない。火炎放射を持った敵の攻撃は、一度当たるとそのままハメ殺されたりとかなり理不尽。

7月7日現在、オンライン対戦機能はまだ実装されていないため、もしかしたらそこから機能し始めるのかもしれないけど、そもそも実装されてから発売して欲しかった。OPムービーでは巨大なロボと一緒に戦っているのだが、それも未実装。
ロボの背に乗って戦っているOPムービー、詐欺である
オンライン実装もそうだが、牢獄(自宅のようなモノ)から直接ファストトラベルが出来ず、一度外に出なければならなかったり、メニュー周りの不便さ、部位破壊時に飛び散る部品の回収しにくさ、キー配置の悪さといい、あと数ヶ月煮詰めていたら・・・と思うような、惜しい部分が沢山ある。

難易度は先述したとおり「どうやって1対1に持ち込むか」をよく考えて戦えば、あまり高くはない。何も考えず戦っていると大型の敵や雑魚に囲まれてボコボコにされてしまうが、そういう意味ではなかなかバランスの良い戦闘に仕上がっていると思う。
対人戦は主に銃での戦闘になるため苦手な人にはかなり厳しいが、仲間に任せていてもクリア可能。仲間のレベル上げや武器の強化を怠っていなければ、全体的にはむしろ簡単な部類なんじゃないかと思う。

20時間もしないでシナリオはクリアできるけど、任意任務を遊んだり、武器の厳選も合わせれば50時間以上は遊べる内容。

トロフィーの難易度もあまり高くはないが、武器の強化に現実の時間がかかったり、全ての任務をクリアするトロフィーでは任務の出現条件が不明で、40時間遊んでも最後の任務が出なかったりと、よく分からない所で難易度が上がっている。
一番面倒なのは「懲役を50万年にする」トロフィーで、普通に遊んでいたらかなりの時間がかかる。
アイテムを納品する事で懲役を減らすことができ、これを使って作ったアイテムを納品し続ければ比較的楽に達成出来る。しかし、アイテム制作にも現実で5分の時間がかかるため面倒。それほど難しくはないが、全体的に面倒という感じ。
現在、オンラインが実装されていない関係で、マルチのトロフィーは一緒に遊べる知り合いないと取得できないため、人によっては一番難しいのはこれかもしれない。


色々と荒削りだが決してつまらない訳ではなく、むしろ評価できる部分は多くて、なんか惜しいなあって感じの作品。
今後、継続的なアップデートの姿勢は感じられるので、その辺りを期待して遊んでみるのもいいかもしれない。


プレイ時間 55時間

グラフィック ★★★
音楽 ★★★
内容 ★★
難易度 ★★★
トロフィー難易度 ★★

総評 ★★

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