「ドロースラッシャー」でタッチ操作への免疫が出来たのに、このゲームのせいでまたタッチ操作に嫌悪感を抱き始めつつあるかも。
最初に、このゲームは誘導ゲームの基本である「タッチ操作でとんちや謎解きをして進んでいくゲーム」じゃない。
「タッチ操作で繊細な仕掛けや即死の罠を回避していくゲーム」だという事を、先に言っておく。「Limbo」や「ドクロ」のようなゲーム性を期待しているのなら、それは間違い。
悪い所から記述すると、とにかく操作性が悪い。
主人公の操作は一切できず、光と影の2匹のホタルを操ることで主人公を誘導して進んでいくのだが、そのホタルの操作性がかなりのレベルで悪い。
まず、同じタッチオンリーの誘導型ゲームとして「エスケーププラン」を例に上げてみる。
「エスケーププラン」の場合、主人公を進ませたい方向にフリックさせることで、その方向に自動的に進んでいくシステムだった。これでも十分操作は大変なのだが、一度フリックしたら主人公は勝手に進んでいくため、画面に指を置き続ける必要はない。このおかげで画面の視認性も上がり、移動させつつ他の仕掛けに取り掛かることが出来た。
また、4カ所を同時に指で押さえながら進むといった、タッチ操作でなければ出来ないような仕掛けもきちんと盛り込まれていた。
気になるところは多かったけど「エスケーププラン」にもそういったタスク管理的な面白さがあって、スティック操作ではありえない、とんちの効いたステージ構成は評価できるものだった。
ホタルノニッキは、タッチでホタルを誘導することでホタルのいる場所に主人公が歩いて行くというシステムだが、ホタルはタッチしたところに瞬時に移動するわけではなく、タッチし続けるとその場所にホタルが移動していく形を取っている。
言うなれば「主人公を誘導するホタルを誘導する」という二重の誘導ゲームになっており、そこで発生する操作のラグが、繊細な操作を要求してくるゲームデザインと噛み合っていないのだ。
タッチした場所にホタルがついてきて、更に主人公がホタルついていく |
このメリットは「エスケーププラン」や「レイマンオリジンのタッチステージ」等、あらゆるタッチゲームで活かされている。
例えば、左側のA地点をタッチしていても、手を放し右側のB地点をタッチすれば瞬時に操作の切り換えができる。A地点とB地点の移動時間が存在しないため、アナログスティックを左から右に倒すよりも素早く、直感的な操作が可能になるわけだ。
多くのタッチ対応ゲームは、このメリットによりタッチ操作の非精密さをカバーしていたのだが、このゲームではタッチによるメリットが一切ないため、タッチ操作を採用している意味がない。ただ、操作性が悪いの一言で終わってしまう。タッチ操作だからあり得る独特な仕掛けとかもない。一個もない。
ホント、なんでタッチオンリーなのかって疑問が尽きない。スマホとかに移植するのを見越してるのかね。
タッチペンも使ってみたけど、視認性が上がる代わりに、精密さや素早さが指よりも劣っちゃうからたいした改善にはならなかった、残念。
また、ホタルを動かすと同時に画面も一緒に動いてしまう関係上、タッチした位置が画面の移動と共に変わっていくため、好きな場所にホタルを動かすだけでも気を遣う必要が出てくる。
A地点に行きたいと思ってタッチしていても、画面の移動が合わさって、A地点よりもっと奥へ行ってしまうってこと。
更に、ホタルを移動させるには指を画面に置き続ける必要があるため、画面の視認性が非常に悪くなる。視認性の悪い中、画面の仕掛けに繊細な注意を払わなければならないわけだ。
頭の中ではこうすればいいと分かっていても、操作性の悪さや視認性の悪さから失敗してしまうことが度々。細かい仕掛けにもいちいちストレスを感じてしまう。
他にも箱を押す時や引く時、はしごの上り下り、物やスイッチへのアクセス等、細かい操作全てのテンポが悪い。
個人的に、操作性やテンポの悪さで難易度を上げているゲームは大嫌いなんだけど、ホタルノニッキはまさにそれ。
誘導ゲーにおける「うまく操作出来ない歯がゆさ」が面白さに繋がるだろうという考えはわかるし、そこを目指して作ったのだろうという思惑もわかる。
しかし、誘導ゲーで楽しんで欲しいならとんち的な発想や謎解きといったものをメインにするべきであって、初見殺しの罠や即死の仕掛けを非繊細なタッチ操作で回避しろなんて言われても困るだけ。
特にイライラ棒のようなステージは本当に酷い。イライラ棒なんて1回でも腹が立つのに、2回もある。2回もだぞ。2回!「ホタルノイライラボウ」に改名しろ!
イライラ棒のエリアをやっと抜けた!と思ったら、すぐに初見殺しのトラップが仕掛けてあって、死んだらイライラ棒エリアに戻されてね、流石に笑ったよ。
ホタルノイライラボウ、黒い壁に当たったら死ぬ |
どうすれば良いのかはわかるのに、割とシビアな仕掛けが多くて、タッチ操作で解いていくのが難しい。
植物が種を吐くのを利用してスイッチを押す仕掛けとか、本当に微妙にずれてるだけで解除できない。微調整しては試して、微調整してはの繰り返し。謎解きってそういうんじゃねえから!もっと頭を使わせろよ!
ホタルの他に、カゲホタルというものがいて、主人公と繋がっているカゲの中なら自由に移動しレバーや仕掛けを動かすことが出来る。ホタルは主人公を誘導するだけで、仕掛けにアクセスは出来ないから、主人公の誘導はホタル、仕掛けはカゲホタルで解いていくって感じかな。
トゲ床があって渡れない時は・・・ |
カゲホタルで左上の箱を落とす |
操作タイプBの場合、背面タッチを使う必要はない |
カゲホタル操作中はゲームの時間がストップするから、致命的ではないけどね。
操作性についてボロクソに書いたけど、一応、プレイを続けていればこの悪質な操作性にも慣れてくる。
行きたい場所をタッチするんじゃなくて、行きたい方向をタッチすれば良いんだとか、細かい操作はタッチ連打で微調整すれば良いんだとか、画面に指を二本置けばその中心にホタルが行くから画面が見やすくなるなとか、色々。
でも、慣れてスムーズに進めるようになっても、不思議とあんまり嬉しくない。
それは、ゲーム中の仕掛け自体は簡単なものばかりで、スムーズというより逆に簡単過ぎるレベルにまで難易度が落ちるから。
難易度が高いという評価が多いけど、ただ操作性が悪いだけでベースの難易度自体は決して高くない。
「練習して操作性に慣れ、できて当り前の事が出来るようになる」のと「抜群の操作性の中、出来ないことが練習して出来るようになる」のとでは、達成感が違う。だからクリアした時の喜びも少なかったというわけ。
と、ここまで悪いことしか書いてこなかったけど、ちゃんと良い面もある。
「廃墟と少女とホタル」という素材が醸し出す雰囲気はなかなか良い。絵本のような絵のタッチと、機械音や環境音のようなBGMも相まって、寂しさや不安といった感情に訴えてくる。
辺りに死体が落ちてたりホラー演出もあるけど、主人公が死んでも画面に血が付く演出があるだけで、首が飛んだり潰れたりはしない。
個人的に女の子が酷い目に遭っている姿は見たくないので、ここは助かった。
カゲの中の敵に当たってアウト、死亡演出はすべて同じ |
シナリオは文字情報では語られず、ゲーム中に起きるイベントや「記憶のカケラ」 を集める事で見る事が出来る過去の映像から読み取っていく事になる。
何故ミオンがここに居るのか、この廃墟はなんなのか、ホタルは何者なのかといった謎も次第に見えてきて、進む度にふんわりとだが確実に謎に近づいていくから、断片的に見えた記憶や情報で答えを予想していくのは楽しい。
記憶のカケラの映像はドット絵で描かれていて、過去っぽい雰囲気が出てる。ドット絵大好きです。
シナリオにはクリア後も残る謎も多くて、ゲーム中では断片的にしか語られないから、考察好きの人は気に入るんじゃないかな?
ただの投げっぱなしだろって思う人も居るだろうけど、そこは好みだね。
過去の映像、進むにつれて異変が・・・ |
あと、トロフィーの難易度はそこまで高くない。
操作に慣れるまではかなり難しいけど、いざ慣れてしまえばなんてことないものばかりで、10数時間あればクリアからトロコンまで出来てしまうレベル。
ただ、動体視力が必要になる影当てクイズやシャッフルクイズを全問正解するトロフィーだけは慣れる慣れないの問題ではないので、苦手な人には厳しいかもしれない。
厳しいとは言っても、最終的にはスマホか何かで撮影して、動画を見ながら答えていく手法もあると思うから、絶対に無理ではないけどね。
雰囲気やシナリオは良いが、操作性や内容にかなり難があるこのゲーム。
この雰囲気が好きで、かつタッチ操作に四苦八苦する覚悟があるのなら、プレイしてみるのも良い・・・のかも知れない。
プレイ時間 16時間
グラフィック ★★
音楽 ★★
内容 ★
難易度 ★★★
トロフィー難易度 ★★★
総評 ★
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